さんざん悩んで選んだYSSのリアショックが届いたので、いよいよ交換作業です。
結論から言うと作業自体は驚くほど簡単でした。
ただし一箇所だけ、思い込みで焦った場面と、力任せでは絶対に外れなかった場面があります。そこが今回いちばん書いておきたいところです。
そしてもうひとつ。
外した純正ショックを見て、交換を決めた自分を褒めたくなりました。その話は後半で。
使った工具はこれだけ
用意したのは3つ。
- 14mmスパナ
- シリコンスプレー
- マイナスドライバー
以上です。
ぼくはトルクレンチもプーラーも使いませんでした。
カブの整備がありがたいのは、こういう気軽さです。
スパナは私が使ったものそのものではありませんが、これくらいのセットを一組持っておくと、カブに限らずたいていの作業で困りません。バラで買い足すより結局安上がりです。
シリコンスプレーは正直どれでも構いませんが、あえて挙げるならこれ。ノズルが本体に固定されているタイプなので、細いノズルを無くす心配がありません。あの細いストロー、必要なときに限って見当たらないんですよね。
そして今回の主役、YSSのリアショック330mm。選定にどれだけ悩んだかは前回の記事に書いたとおりです。
最初の関門:カラーの入れ替えで焦る
YSSは複数車種に対応させるため、取付部のカラー(スペーサー)を車両に合わせて入れ替える設計になっています。私はこれを上下両方とも交換するものだと思い込んでいました。
ところが付属のカラーは2つしかない。1本あたり上下で2つ、2本で計4つ必要なはずなのに足りない。「開封のときに落としたか?」と一瞬血の気が引きました。箱の中を探し、床を探し、しばらく右往左往。
結論を言うと交換が必要なのは上側だけでした。だから2本分で2つ、これで正解。数が足りないのではなく、最初から上側の分しか入っていないのです。同じ勘違いをする人は絶対にいると思うので、声を大にして書いておきます。カラーは上側のみ交換。数は合っています。落としていません。
カラーが抜けない。力任せは通用しなかった
安心したのも束の間、今度は元のカラーがまったく抜けません。
まず素手で押してみる。びくともしない。シリコンスプレーを吹いて浸透を待つ。それでも動かない。ちょうどいい径のソケットを当てがって、体重をかけて強く押し込む。これでもびくともしない。
ここで力任せを続けると、ブッシュを痛めるか工具が滑って手を怪我するかのどちらかです。一旦手を止めて考えました。
効いたのはこの方法です。マイナスドライバーをカラーの中に突っ込み、テコの要領で力をかけて、カラーとブッシュの間にわずかな隙間を作る。その隙間にシリコンスプレーを上下から吹き込む。これだけで、さっきまで微動だにしなかったカラーが驚くほど簡単にスッと外れました。
要するに、押す力が足りなかったのではなく、密着した面にスプレーが届いていなかっただけなのです。潤滑剤は「かける」だけでは意味がなく、入るべき場所に入って初めて効く。当たり前のようでいて、作業中は忘れがちな原則でした。ここが今回いちばんの学びです。
車体への取り付け:まず右側から
身構えていたのは、30年もの純正ショックを外す場面でした。固着していたら厄介だなと。ところが袋ナットはあっけなく緩みました。拍子抜けするほどでした。
作業はサイドスタンドを立てたまま、右側から。上下の袋ナットを14mmスパナで外して、古いショックを取り外し、新しいYSSを取り付けます。
YSSは純正より少し長いので、ボルトにすんなり入るか心配でしたが、ちょっと力を入れると素直に嵌りました。ここは問題なし。
外した純正ショックが想像以上に終わっていた
取り外した純正ショックを手に取って、思わず声が出ました。くの字に少し曲がっていたのです。
交換のきっかけはオイル漏れでした。滲んでいるな、そろそろ寿命かな、という程度の認識だったのです。ところが外してみたら、オイルで汚れているうえに、明らかに真っ直ぐではない。
30年以上、じいちゃんから受け継いで走り続けてきたわけですから、当然といえば当然かもしれません。ただ、装着したままではこの曲がりに気づきようがありませんでした。オイル漏れという分かりやすい症状が出てくれたおかげで、曲がったショックで走り続けずに済んだことになります。
減衰が抜けてふわふわする、というレベルの話ではなかった。これは換えて正解でした。同じような年式のカブに乗っている方は、一度外して現物を見てみることをおすすめします。
締め付けトルクをどうするか
正直に書きます。取付トルクの規定値がわかりませんでした。
YSSの箱の注意書きには「マウントボルトの締め過ぎは製品の作動に悪影響を及ぼす」「車両メーカーのサービスマニュアルに準じてトルク管理を行うこと」とあります。ところが手元にサービスマニュアルがない。
そこで外したときの感覚を頼りに、だいたいこんなものかなという程度の力で締め付けました。締め過ぎて破損させる方が怖いので、やや慎重寄りに。
これは推奨できるやり方ではありません。本来はサービスマニュアルの規定値をトルクレンチで管理すべきです。ただ、緩すぎるより締め過ぎの方が製品を壊すという注意書きの趣旨を踏まえて、この判断にしました。緩んできていないか、しばらくしたら必ず確認するつもりです。走行後の増し締め確認は必須だと思っています。
左側でちょっとだけ難儀した
左側も、外すのは右と同様あっけないものでした。問題は取り付けです。
YSSが純正より少し長いぶん、左側は素直に嵌ってくれませんでした。ここで効いたのが荷重の逃がし方です。
車体を少し持ち上げるようにし、かつ車体を右側に傾けて荷重を右側にかける。こうすると左側のスイングアーム周りが自由になり、うまく嵌りました。
サイドスタンドは左側にあるので、左のショックを組むときは構造上どうしても荷重が邪魔をします。車体を右に傾けて左側を軽くしてやる、というのがコツでした。無理にこじって取付部を痛めるより、荷重を逃がす方向で考えた方が早いです。
まとめ:作業自体は簡単、ハマるのは2箇所だけ
全体を振り返ると、カブのリアショック交換は初心者でも十分できる作業です。工具は14mmスパナ、シリコンスプレー、マイナスドライバーの3つで足りました。
つまずくとしたら次の2点です。
- カラーは上側のみ交換。付属が2つでも足りないわけではない。数え間違いでも紛失でもない。
- 古いカラーが抜けないときは力任せにしない。マイナスドライバーでテコを効かせて隙間を作り、そこにシリコンスプレーを入れる。これで一発。
あとは、YSSが純正より少し長いので、左側を組むときに車体を右に傾けて荷重を逃がすこと。この3つを知っていれば、迷う場面はほぼないと思います。
そして何より、外してみるまで分からないことがあるという点。オイル漏れだけだと思っていたら、くの字に曲がっていました。気になっている方は、まず外して現物を見てください。
次は実際に走ってみての乗り味レポートと、増し締め確認の結果を書く予定です。あれだけ悩んで選んだYSSが、じいちゃんのカブをどう変えてくれたのか。楽しみです。






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