ヤフオクで手に入れた中古のセミバケットシート。
座り心地は文句なしなのに、座面のホコリ、ペットの毛、タバコや汗の匂いがふわっと立ち上がる——。そんな状態のシートを、業者に出さず自分で洗いました。
届いたシート。非常に汚いです。
結論から言うと、シート表皮(カバー)は外せます。そして外して洗えば、古いシートも気持ちよく使えます。
検索しても、マツダスピードのセミバケシートの分解清掃してる人が見つからなかったので、分解できるか心配でしたが、なんとか外せましたね。
非常にきちゃないです…
この記事では、マツダスピードのスポーツシート「タイプF」を、分解から洗浄・乾燥・組み付けまでの全手順と、私が実際にやってみて分かった注意点をまとめます。
外してみて思ったのは車種は違っても、ホグリング(Cリング)で表皮を留めているタイプのシートなら手順はほぼ共通と思います。レカロ、ブリッド、などは情報が沢山ありますが、マツダスピードは見つからなかったので役に立てばと思います。
作業データ
・作業時間:2脚で約3時間(分解約2時間+洗浄約1時間)、乾燥は別に半日
・費用:ホグリングの工具セット 約2,500円のみ
・難易度:外すのは簡単、張り直しがやや大変
業者のシートクリーニングは1脚1万円前後という話をよく見かけるので、それと比べても十分に元は取れます。
マツダスピード スポーツシート タイプFとは
マツダの純正アクセサリーブランド「マツダスピード」が販売していたセミバケットシートです。
NA/NBロードスターのオーナーの間では定番で、狭い室内でも干渉せず、純正よりホールド力があることから今も中古市場で人気があります。
すでに廃番のため、入手経路は基本的にヤフオクや中古パーツ店です。
一時期より中古価格が上がって高くなってますね。
今回分解して分かった構造上の特徴が、座面ウレタンの裏側がバネで吊られた凹型の鉄板になっている点です。
フルバケのようなFRPの一枚殻ではなく、純正シートに近い「しなり」を残した作りで、これが長時間乗っても疲れにくい理由だと感じました。
スポーツ走行専用ではなく街乗りとの両立を狙った設計思想なのだと思います。
用意した工具・洗剤
必須のもの
- ホグリングプライヤー:これが無いと話が始まりません。表皮はホグリング(C型の金具)で留まっています。1,000〜2,000円程度
- ホグリング(替えの金具):外したリングは再使用しないでください。変形して保持力が落ちます。100個入りで数百円なので必ず新品を用意
- ラジオペンチ/マイナスドライバー:リングをこじって外す用
- 中性洗剤(洗濯用):表皮の洗濯用。柔軟剤は使っていません
分解手順:表皮を外す
リクライニングノブ・樹脂カバー類を外す
側面のダイヤルやレバー、その周りの樹脂カバーを先に外します。
側面のダイヤル部分は分解せずシートをリクライニングレバーでシートを倒して、背面側に出てくるプラスネジを2本外します。
ここも汚いですねぇ。画像に見えるプラスネジを2本外すとシートリクライニングのノブカバーが外せます。
ねじを外すと、上の画像の樹脂パーツが外れます。
背もたれと座面を分離する
取り外したリクライニングのノブパーツです。固定用のクリップが小さいので無くさないよう注意してください。座面と座面下のパーツを分離する
実はここも座面の手前のクリップと同様にサイドもクリップで止まっているだけなのですが、金具の向こう側に隠れるように嵌り込んでいるのでわかりにくかったです。
表皮を洗う:2層式洗濯機で丸洗い
ウチには2層式洗濯機があるのでそれで洗います。洗剤は中性洗剤を使用しました。外してる途中の画像ですが、シート表皮の裏側に針金が通してあるのが見えます。
シート表皮を固定しているリングは硬いし、きちっと留まってるので外しにくいです。
リングはマイナスドライバーで起こしてからラジオペンチで開くと外れます。指を切らないよう手袋を推奨します。
ウレタンは基本的に「洗わない」
ウレタンフォームは水を含むと乾きません。中心部まで乾くのに数日〜1週間かかり、生乾きのまま組むとカビと悪臭の原因になります。ウレタンは掃除機でホコリを吸い、表面を固く絞ったクロスで拭く程度に留めるのが現実的です。
組み付け:表皮を張り直す
組み付けは分解の逆順ですが、表皮の張り込みは「センター出し」が命です。中心線がずれたまま留めていくと、最後に必ず皺が寄ります。中央から左右へ、少しずつテンションをかけながらホグリングを打っていきます。実際にやってみると、組み付けは特に問題なくできました。
仕上がり:室内に戻したら、いい香りで快適
洗った表皮を組み付けて、シートを車内に取り付けました。乗り込むと洗剤のいい香りがして、とても快適です。届いたときの、座るたびにホコリと匂いが立ち上がる状態とは別物になりました。
かかった費用は工具代の約2,500円だけ。中古で安く手に入れたセミバケを気持ちよく使うなら、表皮の丸洗いはおすすめできるDIYです。
やってはいけない3つのこと
- ホグリングの再使用:保持力が落ち、走行中に表皮が浮きます
- ウレタンの水洗い:乾かず、カビます
- シート固定ボルトの適当な締結:トルク管理を怠ると命に関わります。自信が無ければ整備工場へ
よくある質問
Q. 素人でも表皮は外せますか?
A. ホグリングプライヤーさえあれば外せます。難しいのは「外すこと」ではなく「元通りに張ること」です。分解前の写真を大量に撮っておけば、初めてでも十分可能です。
Q. 業者に頼むといくらですか?
A. シートクリーニングは1脚あたり1万円前後が相場のようです。ただし業者の作業は基本的に表皮を外さない「その場洗浄」です。分解しないと届かない場所があるという点で、DIYには業者にない利点があります。
まとめ
セミバケットシートの分解清掃は、特殊工具1つと時間さえあれば個人でできる作業です。汗ジミ・黒ずみ・テカリ・経年のホコリについては、費用対効果は極めて高いと言えます。中古で狙っている方は、この点を織り込んで入札するのが賢明です。
廃番になった名品を、金をかけずに現役に戻す。これがDIYのいちばん楽しいところだと思います。


















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